わたしから、プロポーズ
何とか、フォローをしなくては。
瞬爾を不安にさせている。
そう思い、その背中を追いかけた時、瞬爾がごみ箱に視線を落としている事に気付いた。
「何だ?これ」
さっき捨てたパンフレットが目についたらしく、ごみ箱から袋ごと取り上げている。
「あ、それ…。昼間ね、外周りの途中で貰ったの。結婚情報センターの前を通ったから」
ゆっくりと近付く私に、瞬爾は険しい顔で振り向いた。
「何で捨ててるんだ?」
「え?何でって、だって必要ないかと思って…」
意外なくらいに怒りを向ける瞬爾に、こちらは動揺しまくりだ。
「必要ない?そんな事はないだろ?一番、必要なものなんじゃないか?」
「それは…」
何で、こんなにまで怒っているのだろう。
パンフレットを捨てた事が、気に障ったのだろうか。
何も言い返せないでいると、瞬爾は苛立ちを隠す事なく、乱暴にパンフレットをごみ箱に投げ捨てた。
そこまで感情を見せた事はないせいか、恐怖さえ感じてしまう。
呆然とする私に、瞬爾はすれ違い様にネクタイを緩めながら言ったのだった。
「週末、家族と食事をする事になったから。その時に、結納や式の事を決めよう」