わたしから、プロポーズ
仕事はもともと課が違うから、普段から話をする事はほとんどない。
だけど、自宅でも挨拶は以外は会話はなく、夜も背中を向け合って寝ていた。
だからこの数日は、瞬爾と気まずくて仕方がなかったのだ。
「うん。本当、綺麗な青空」
窓の外にもう一度目をやると、眩しいくらいの空が広がっている。
良かった、瞬爾が話しかけてくれて。
ホッとすると同時に、嬉しい自分がいる。
今日は、貰った指輪をしてきているけれど、気持ちと噛み合っていないみたいで切なかったのだ。
やっぱり瞬爾とは、気まずい関係でいたくない。
こうなってみて、改めて瞬爾への愛情を確かに感じた。
「二人は、結納や式はどうするつもり?」
瞬爾のお母さんが聞くと、それにはすかさず瞬爾が答えた。
「結納は焦る必要もないと思ってるんだ。3ヶ月くらい先でいいんじゃないか?」
「3ヶ月も!?女性としては、早く形が欲しいと思うわよ?莉緒ちゃんも、それでいいの?」
確かに、そんなに先まで結納をしないとは、正直驚きだ。
まさか、パンフレットの件を、根に持っているのか。
そんな思いが頭をよぎり、 若干血の気が引く。
「そんなに驚く事か?だけど、式の日だけは俺の中で決めてるんだ。莉緒の誕生日にしようって」