わたしから、プロポーズ
やっぱり…。
辞めて欲しいんだ…。
瞬爾の気持ちを知ると、それ以上は口に出来なかった。
すると、瞬爾は穏やかな口調で言ったのだった。
「俺達も結婚するんだ。莉緒にはこれを機に、もっと自分を出して欲しいな」
「え?うん…」
自分を出して欲しいって、どういう意味なのだろう。
プライベートでより、職場で会う時間の方が長いから、そう言っているのだろうか。
もっと、プライベートな時間を増やせ、そう言われている気がする。
仕事を辞める、か…。
どのみち、結婚をしたら営業部にはいられない。
事務職に変わるくらいなら、辞めたって未練はないけれど、どこか気持ちが乗り切れないのは何故だろう。
結婚式の話をして、気分が盛り上がったのも事実なのに…。
結局、その顔合わせは、具体的な日取りが決まったのは式だけで、それ以外は終始談笑で終わった。
お互いの子供の頃の話や、両親の仕事の話など、楽しくないはずはないのに。
私だけはどこか、その雰囲気に乗り切れず、愛想笑いを浮かべるだけだった。