わたしから、プロポーズ


「新婚生活はね、とっても新鮮なの」

クリーム色のソファーに座りながら、和香子に目を向けると、キラキラと輝く様な表情で話してくれた。

「だって、好きな人と一緒に生活するんだよ?何もかもが新鮮なの」

「新鮮…?」

「うん。例えば、一緒にご飯を食べる事、一緒にテレビを見る事。それに、一緒に寝る事とかね。今までには無かった事だから」

最後には顔を赤らめて、和香子は顔を緩めた。

「莉緒は伊藤課長と同棲してるんだっけ?だったら、子供ぽく聞こえるかもしれないけど」

「ううん。全然…」

むしろ、羨ましい。

改めて思えば、私と瞬爾にはそんな新鮮さがない。

付き合ってすぐに同棲を始めたのだから、毎日の“生活”は当たり前になっていた。

「彼の好みを発見したり、毎日が楽しいのよ。それに、今は専業主婦だから、彼の帰りを待ち続けるのも楽しくて」

待ち続ける…?

その言葉に呆然とする私とは違い、遥は話に乗っている。

「へえ。絵に書いたような奥様ぶりじゃない。じゃあ、家事に料理にっていうのが楽しいんだ?」

「うん。彼が仕事に打ち込める環境を作るのが、今の私の生き甲斐なの」

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