わたしから、プロポーズ
私と付き合う一年くらい前まで?
という事は、私が瞬爾を知っていた頃には付き合っていたという事か。
「5、6年付き合ってたはずだ。嫌だよな?その元カノと、一緒に仕事だなんてな。あっ、でも、おあいこか。坂下も、初恋のお兄ちゃんが取引先にいるんだよな?」
寿史さんまでヒロくんの事を知っていたとは。
瞬爾はどこまでも、私の事を話しているらしい。
それにしても、言い方にトゲがあり過ぎだ。
「寿史さん、何が言いたいんですか?」
思わず睨みつけると、寿史さんは、しれっとした笑顔を浮かべた。
「別に。ただ、俺にとって瞬爾と坂下は、大事な友人と部下だって事だよ」
寿史さんはそう言うと、盛り上がる輪の中へ、手を叩きながら入って行ったのだった。
「何よ、寿史さん。何が言いたいのか、さっぱり分からない」
だけど、瞬爾はどうして隠していたのだろう。
内田美咲さん。
一体どんな人なのか。
瞬爾の元カノと聞いて、心は穏やかではなくなった。