【短編】彼女の秘密と僕の憂鬱
そんな俺が唯一この高校に来てよかったと思えたのは、ある一人の女性に出会えたことだ。
田村梓(たむらあずさ)
俺の国語の担当教師だ。
教え方は上手いし、しっかりしているけどどこか抜けていて、でも一生懸命なところに俺は惹かれていた。
必然的に俺は国語を頑張るようになって点数は伸びたし、向こうも俺に対してそれなりに好意を抱いているようだった。
…そして、生徒と教師の境界を越えてしまった。
そのことに対して俺は後悔はしていないし、何より向こうには相応の彼氏がいた。
だから、それなりに割り切った関係のつもりだ。
少なくとも俺はそうでありたいと思っていた。