【短編】彼女の秘密と僕の憂鬱
進路の担当をしている彼女は、進路指導室にいる。
そこで何度か身体を重ねた。
そして俺はある日、気づいてしまったのだ。
彼女の秘密に。
ぐっと冷え込むようになり、秋も深まってきた日のことだった。
何度目かは忘れたが、行為の最中に彼女の首元にキスマークをつけようとした時、彼女の様子がおかしかった。
まあ普通に考えれば、彼氏にばれたらまずいから拒むのは当たり前だが、俺はその真相を探りたくなって、彼女を半ば無理やり進路指導室の机の上に押し付けた。
止めておけばよかった。
タートルネックを着ていた彼女の首元を捲ると、そこにはおびただしい数のキスマークがついていた。
悲しかった。
彼女が俺のものではなく、他の男のものであるという現実を突きつけられた。
そして、悔しかった。
そんなの、分かりきっていたことのはずだった。