【短編】彼女の秘密と僕の憂鬱
急に手を止めた俺が考えていることが伝わったのか、彼女は涙で潤んだ瞳で俺を見つめ、消え入りそうな声で、
「ごめんね」
とだけ呟いた。
その言葉に、俺の中の何かが音を立てて壊れた。
「···なんで謝るんだよ。なぁ。何で謝ったりなんかするんだよ!」
俺はそれから、めちゃめちゃに彼女のことを抱いた。
彼女が最中に何度も謝っている姿と、真っ白い首筋についている真っ赤な跡を見るたびに、俺は、異常な興奮に襲われた。
それからというもの、彼女がタートルネックを着ている日は、ほぼ必ず彼女を強引に抱いた。
例外なく首にはキスマークがついていた。
いい歳してこんな派手にキスマークつけてんじゃねぇよ。
と思ったが、もしかしたら、俺と彼女の関係は、彼氏にばれているのかもしれないなとも思った。
そして、彼女と繋がるたびに、本気で好きになっていくのが辛かった。
それからは彼女のことを避けるようになっていった。
彼女もそれは同じで、お互い授業や特別何か用事があるとき以外は関わることがなくなった。