生徒会長は魔法使い!?
(16)レベル5
「いやー、昨日は凄かった」
佐野が黒板に何か書きながら言った。
「ねぇ、あれは全部幻想だったの?」
真木は言う。
ここ、生徒会室では反省会が行われていた。
昨日はあれほどの戦いをしたのに、もう街は元どおり。
校舎にも傷一つない。
「あれは異空間だったんですよ。
悪魔が作り出した「ヒト」が水の塊であったように、あの異空間での街は偽物、パラレルワールドとでもいうんでしょうか、そんなものですよ」
高尾が説明した。
「次の満月も何か嫌な予感がします」
私は何気なくつぶやいた。
「どうして?もうポルターガイラーは全滅したし、リーダー格の悪魔も消滅した。あなたたちはレベル4になって、倒せる悪魔は増えた。これで終わりじゃない?」
真木は不安を掻き消すように言った。
「でも…私たち、レベル5にはまだ立ち向かってないんです。だから、私はレベル5を倒したい。レベル5になりたい。
もしそれが危険だったとしても」
「おい、あまり焦らない方がいい。
レベル5に勝とうとしたら身の危険がある。命も落とす可能性だって…」
「俺もです」
高尾の声に被せて遼が立ち上がる。
「お前な…分かってるのか?
レベル5は学園長くらいしかいないんだぞ。お前らがレベル5になれるかなんてまだ分からないし」
「分かってますよ、力不足かもしれないってことは」
遼が高尾の前に立つ。
「だったら大人しくしてろ」
高尾は座ったまま、冷静さを保っている。
「…俺は…俺たちは、レベル5になりますから」
遼はそう宣言すると、
みなみの手を引いて生徒会室を出て行った。