A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 彩が生まれた時からずっと一緒にいたけれど、こんな風に触れるのは初めてだった。
 その頬は少しだけ冷たくて、柔らかい。
 何だろうな、と、諒は思う。
 どうして今こうやって、彩に触れたいと思うのか。
 自分はアヤカシで、彩は人間なのだ。
 人間は儚くて脆くて、すぐに簡単に壊れてしまう。
 だけど健気で真っ直ぐで。
 そんな人間が、愛おしくて。


(いや・・・違うな)


 頭の中で、諒は自嘲的に笑う。
 今こうやって、彩に触れたいと思うのは、その対象が彩だからだ。
 人間は、などと大きく枠を広げて気持ちを誤魔化そうとしている自分が滑稽で、諒は喉の奥で笑う。
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