A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 例え彩と出会ってなくても、彩にこの能力があるかぎり、平穏無事に暮らす事なんて出来る筈がないのだ。
 能力が封印されてしまうおトキさんのいる場所で、普通の人間として過ごした事を、彩は少し寂しくて、少し嬉しかったと言っていた。
 どっちの割合が大きいのか、諒には分からなかったが・・・彩がもし、普通の人間として生まれていたら。
 諒は、そんな事を思いながらもう一度、彩の頬に触れた。


「今頃、幸せな人生を送っていたのかもな・・・」


 小さく小さく、そう呟いて。
 そして諒は少しだけ目線を上げて、窓の外を見つめた。
 どうやらここが、正念場のようだ。
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