A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 もしも普通の人間になれたら。
 おトキさんのいる場所で体感した、能力のない自分になれる。
 あの心地よさは、こんな悲しみとは無縁だ。


「あ・・・あたし・・・」


 膝の上で握り締めた拳に、涙の雫が落ちた。
 その時。
 気を失っているはずの美樹の指が、ピクリと動いた。


(ダメ――!!)


 ビシィィッ!!
 何かが割れる音がして、目の前の結界にヒビが入る。
 次の瞬間、彩が顔を上げた時には結界もアヤカシの姿も消えてなくなっていた。
 美樹の姿も一緒に消えている。
 嵐が吹きすさぶ中、彩はそのまま、屋根に突っ伏して泣いた。
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