A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 生き物の、本来の姿。
 鳥の羽に刃はついていなく、その羽で、自分の意思で、誰にも遠慮なく空を自由に飛び回るのだ。
 そんな景色の中を、彩はあてもなく歩いていた。
 だがやはり、色々な想いが、頭の中を巡っている。
 あのアヤカシは、彩の能力を削り取る事が出来ると言っていた。
 そして、何もかも忘れさせてくれる、と。
 山道は緩い登り坂で、この暖かさも手伝ってか、額にじんわりと汗が浮かんできた。
 能力が使えれば、この山の頂上まで登るなんて簡単な事だ。
 だが、息を切らし、額に汗をかきながら自分の足でこの山を登りきったら、その達成感と満足度は段違いだ。
 何もかも忘れて、普通の人間になる。
 ・・・もしも、本当にそれができたら。
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