A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
「・・・・・・」


 彩は立ち止まり、空を見上げた。
 目尻から涙が頬を伝う。
 今までの記憶と、自分の能力をなくすという事は、悠と諒、それに美樹と、永遠に別れるという事だ。
 そんなの、嫌だ。
 みんなを失うなんて、考えられない。
 だけど、彩にとってかけがえのない存在は、もう、何処にもいないのだ。


「・・・・・・」


 彩はそっと手の甲で涙を拭うと、ポケットに手を突っ込んでまた、ゆっくりと歩き始めた。



☆  ☆  ☆



 何時間か歩き回って、彩は岩場にある滝の上に立っていた。
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