A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 それに、美樹を守ってくれているこの2人もこっちで実体化していられるのも限界のようだった。
 結界が破られないように足を踏ん張る女の子も、低級なアヤカシ達を消し去る男の子も。
 その表情は、苦しそうだ。
 そんな様子を見ると、美樹はつい、早めに向こうに帰してあげたいと思ってしまう。


(・・・あれ?)


 美樹ははっとする。
 ちゃんと、出来ていたではないか。
 悠と諒を、アヤカシの世界に帰す事が。
 美樹と彩が最初におトキさんの場所から帰ってきた時点では、アヤカシの通り道は完全に塞がれていた筈。
 だから、学校にいたあのスーツを着たアヤカシに、道を開けと要求された。
 だが今は、低級なアヤカシ達が次々に現れている。
 道が開いた、と、この2人も言っているし。
 本当なら、今までその“鍵”の役目を果たしていたのは、美樹の筈。
 無意識に美樹は、道を開いてしまったのだろうか?
 いや、今なら分かる。
 美樹は何もしていない。
 少なくとも、意図的には。
 美樹は、目の前で踏ん張っている女の子に声を掛けた。


「ねぇ、道が開いた、って言ったわよね?」
「そうだよー。でも怖くて帰れないのー。お姉さん、早く何とかしてよぉー」


 女の子は今にも泣きそうな顔で、こっちを振り返りながら言った。
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