A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 このままでは、リュウはまともにアヤカシの攻撃に打ち消されてしまう。
 だが美樹は、そんな光景を目の当たりにしていても、関与する事は出来なくて。
 今、目の前で繰り広げられている戦いは、まるで映画の中のシーンのようで。
 何とかしたいと思っても、どうにもならなかった。
 ぶつかり合った2つの衝撃波は、リュウが押されている。
 歯を食いしばりながら、それでも真っ直ぐにアヤカシを見据えているリュウ。
 その瞳は、自分の仲間を守るという信念に満ちていた。
 息をするのも忘れそうになりながら、美樹は痛いほど、分かってしまう。
 リュウは、美樹の母親に、恋をしていた。
 アヤカシには、そんな感情などないと、悠は言っていたが。
 でも確かに、リュウにはあるのだ。
 自分じゃない誰かを大切に思う、その気持ちが。
 仲間と言っていたが、リュウにとって、美樹の母親はそれ以上の存在だった。
 その証拠に、美樹の胸に掛けてあるペンダントも叫んでいる。
 人間に恋をして、同じ時を人間の世界で生きることを決意した美樹の母親。
 もう、アヤカシの世界には帰らない。
 だがそれは、永久に力を使い続けてしまう。


“それでもいいの。わたしはそう決めたのよ”


 そう言い切る母親に、リュウは笑って。
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