A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
☆  ☆  ☆



 一際大きな音と爆風が吹き荒れて、美樹は我に返った。
 砂浜の向こう側では、リュウと彩が同時に繰り出した衝撃波をも、アヤカシによって打ち砕かれて、その余波に二人がはじき飛ばされている。
 だが、リュウも彩も怯まずに体勢を立て直し、再びアヤカシに飛びかかる。


「・・・ねぇ」


 そんな光景を見ながら、美樹は目の前で美樹を守る為に戦っている二人のアヤカシに、声をかける。


「あなた達の事・・・何て呼べばいいのかしら?」


 衝撃波を繰り出しながら、男の子はえっ、と振り返る。
 女の子も、キョトンとして美樹を見つめ返した。


「だって、名前がなければ呼びかけられないでしょう?」


 美樹は、そう言って笑顔を浮かべた。


「名前?」
「そう、あなた達の名前よ」


 美樹が言うと、男の子は、小さく呟く。


「・・・アキラがいい」
「わかったー、この前見観た映画の人よねー?」


 女の子はそう言ってクスクス笑う。
 そうだよ、と、小さく言って男の子はまた、アヤカシに立ち向かう。


「じゃあー、あたしはー、マリがいいー!」
「どうして?」
「マリはねえー、アキラの恋人なのー」


 アヤカシが映画を観る事も可笑しかったが、美樹は今の会話でこの二人の関係を察した。


「わかったわ、じゃあ、アキラくん、マリちゃん」


 微笑みを浮かべながら、美樹は二人に呼び掛ける。
 二人は、少しだけ照れくさそうに振り向いて。


「なんだよ」
「はいはいー、なぁにー?」
「お願いがあるの。わたしを、彩の所まで連れて行ってくれるかしら?」


 いきなりの美樹の申し出に、アキラとマリは一瞬固まる。
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