A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
「マジかよ?」
「やだやだやだー、あんな場所、怖くて行けないよぉー」


 そう言われるのは分かっていたのだが。


「ほんの近くまででいいの。わたし一人じゃあそこまでたどり着けないから。お願い、そうしたら、あなた達も帰れるでしょ?」


 んー、と、二人は顔を見合わせて考え込んで。


「そうだなぁ・・・俺達も、限界だしな」
「そうねー、それに、このお姉さん、あたし達の名前、呼んでくれたしー」
「案外いいヤツだな!」
「そうだね!」


 分かったよ、と、アキラは美樹に向き直り、笑顔を浮かべた。
 だんだん海側に離れてしまっている彩たちの元にたどり着くには、この二人に守ってもらわなくてはならない。
 低級なアヤカシは、まだまだこの一帯にはびこっている。


「もう一つ教えてくれる?」


 美樹を彩の元まで送り届けようと意気揚々と張り切っている二人に、声をかける。


「なぁにー? お姉さん」
「道は、まだ開いているのかしら?」


 美樹の質問に、マリは少しだけ目を細めて、辺りの気配を探るような仕草を見せた。


「そうねー、開いてるよ。でも・・・さっきよりも大きくなってる。どうしてかなぁ?」


 首を傾げるマリに、そう、と美樹は相槌を打って。


「分かったわ。じゃあ、お願いできるかな。あ、それと」


 美樹は、アキラとマリを交互に見つめた。


「わたしの名前は、美樹っていうの。そしてあっちで戦っているのが彩よ。今度からそう呼んでね?」


 大量に群がってくる低級なアヤカシ達を見据えながら、二人はうなづいた。


「あの怖い人、彩って言うんだー?」
「でもなんかいいよなぁ、名前ってさ」
「そうねー、お互いが誰だか分かるもん。ね、美樹ー?」
「でしょ? じゃ、お願いするわね」


 そんな会話を交わし、三人は前に進み出した。
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