A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 彩の言葉もを聞いても、マリは真っ直ぐに2人を見つめて。


「だってー、二人ともー、そんなに泣いてるのに、放っておけないよ」


 その言葉に、美樹と彩は思わず顔を見合わせた。
 もちろん、涙など流れてはいない。
 でもマリは、美樹も彩も、泣いていると言う。


「その原因は俺らにもあるからな・・・」


 申し訳なさそうに、アキラが言う。


「大事な人を失ったらー、悲しいもん。美樹たちを見てたらー、分かる気がしてさー」


 アヤカシには、そんな感情はない。
 悠が言っていたが、今ならそれは違うと断言出来る。
 アヤカシにだって、誰かを大切に思う気持ちはあるのだ。
 アキラとマリが、お互いを大事に思っているように。
 美樹の母親が、人間と恋に落ちたように。
 リュウが、美樹の母親を守ろうとしたように。
 ・・・そして、悠と諒も。


「だから、俺たちにも戦わせてくれよ」


 真剣な顔で、アキラは言う。


「あたし達が言うのもなんだけどー、もう、泣かないで?」


 マリもそう言って。


「・・・分かった」


 目を伏せて、彩は軽くため息をついた。


「その代わり、二人とも、絶対に消えるなよ。どっちか一人でも消えたら、残った方が悲しむだろ。二人とも消えたら」


 彩は笑い。


「あたしと美樹が、悲しいからな」


 アキラとマリは、少し驚いたような表情を浮かべて、それから笑う。


「うん、消えないよ。これでもまだ、雑魚を倒すくらいの力は残ってるからさ」
「そうよねー、頑張るしー」


 彩はうなづいて、美樹に向き直る。


「じゃ、美樹。あとは任せたよ。あたしはリュウのとこに行く」


 そう言って、彩はリュウのもとへ跳躍しようとするが、美樹はそれを引き止めた。


「待って、彩」
「ん?」


 思い止まり、彩は振り返る。
 すると、美樹がいきなり彩に抱きついた。
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