A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 確かに実体化を解けば、パワーは格段に上がる。
 だが、今のリュウの状態でそんなことをしたら、その分、激しく力を消耗してしまう。
 ・・・そうなれば。


「何だよ、俺が消えて、またあいつらが復活すればいいって思ってるんじゃねえのか?」


 からかうようにそんな事を言うリュウに、彩は苦笑して。


「もう、何が何だか分かんないよ。でも」


 彩はゆっくりと深呼吸して、身を低く構え。


「リュウ。あんたにも消えて欲しくない」


 そう言い放ち、彩は跳躍する。
 その後ろ姿を見上げ、リュウは軽くため息をついた。


「参ったね、こりゃ」


 そう呟いて、肩をすくめる。
 アヤカシは、リュウと彩の立て続けの攻撃によって、さっきよりも確実に、ほんの少しではあるが、ダメージが溜まってきていた。
 リュウは少し、後ろを振り向いた。
 雑魚を一掃している彩を、美樹が見つめている。
 胸の前で組んだ両手の中には、桜貝のペンダントが握られていて。
 ここからでも、そのペンダントから懐かしい気配を感じる事が出来た。
 かつて、リュウにとって本当に大切だった存在の置き土産。
 最初に見た時から思っていたが、美樹はその彼女にそっくりだ。
 今となっては、美樹も、彩も。
 リュウにとっては、この上なく大切な存在。


「ホント、可愛いったらないな」


 誰にともなく、リュウは小さく言って。
 美樹と彩は、そんなリュウの変化に気が付いた。


「リュウ・・・!!」


 歯を食いしばり、衝撃波を放ちながら彩は小さく叫ぶ。
 リュウが、実体化を解いていく。
 一気に吹き出した新しい力の波に、アキラとマリは一瞬吹き飛ばされそうになってしまう。
 同時に、こちらに群がっていた低級なアヤカシ達が、半分くらい、跡形もなく消えた。
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