A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
「まるで理解できぬな。何故アヤカシであるお前が己の身を捨ててまで、我に立ち向かって来るのか」
「当然だろうな。お前にゃ仲間を想う気持ちってのが理解出来ないんだからな」
「そんな感情があるから、お前はアヤカシとしての力が弱いのだ。感情などというものは我らには不要」
「俺はそうは思わねぇ。アヤカシにだって感情はあるんだ。ただ俺達は、それを理解してないだけでな」


 会話を交わしながらも、リュウもアヤカシも、気を高めている。


「アヤカシが人間の世界に携わるのは、古(いにしえ)よりの理だが・・・アヤカシが人間のように感情を抱くなど、あってはならぬ。この力は、己の感情のままに使うものではないのだ」


 人間よりも遥かに秀でているアヤカシの能力。
 確かに、感情のままにアヤカシがこの力を使ったら。
 この世界は、歪んでいくだろう。
 リュウとアヤカシから生まれる強大な気のうねりは、これまでにないくらいに大きく、凄まじいパワーを生み出している。
 美樹は、ペンダントを強く強く握り締めたまま、そんな二人を見つめていた。
 ペンダントは、熱いくらいに熱を帯びて。
 アキラとマリも、あまりにも大きな力の渦に思わず動きを止めて、リュウとアヤカシの動向を見守っている。


「・・・美樹」


 彩が、美樹の肩に手を置いた。
 そして、耳元で何かを呟いて。


「え?」


 美樹が聞き返すと、彩はぽんぽん、と美樹の肩を軽く叩いて、リュウの方へ向かって跳躍した。
 聞こえなかった訳ではないが。
 美樹は、耳を疑った。


「彩ー、そっちに行ったら危ないよー」


 マリが、心配そうな声を出す。


「だよな。あんなデカい気がぶつかろうとしている場所に人間が行ったら、一発で死んじまうぜ。アヤカシの俺たちだって消えちまうくらいの力だからな」
「アキラー、あたし達、消えちゃうのー?」


 ここは、アヤカシの世界ではなく、人間の世界だ。
 この場所で、リュウとアヤカシの最大級の衝撃波がぶつかり合ったら。
 ここにいる全員の命だけではなく、他の場所にも、間違いなく影響が及ぶ。


「でも、まぁ・・・運命ならな、仕方ねぇな」


 マリに寄り添いながら、アキラは呟いた。
 そうだねー、と、マリも言って。


「運命・・・」


 美樹は呟く。
 決して逆らえない、そして避けて通る事の出来ない流れ。
 ――・・・だが。


「あんたが、運命を変えるんだよ、美樹」


 リュウの元に跳躍する直前、彩は耳元でこう言ったのだ。
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