A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
☆  ☆  ☆



 気が付くと、彩は砂浜に倒れていた。
 いつの間にか嵐は収まり、流れた雲の切れ間から満天の星が輝いている。
 穏やかな潮風は、仰向けに倒れている彩の前髪を、そっと撫でていた。


「・・・彩」


 彩の隣で砂浜に座っていた美樹が呼びかける。
 首だけを動かして、彩は美樹に視線を向けると、微かに笑った。


「・・・しばらく動けそうにないな・・・」


 体力の消耗が激しく、起き上がる事すら出来ない。


「いいわよ、しばらくこのままで」


 そんな彩に美樹はクスッと笑い、座ったまま膝を抱えて、海の方に視線を向ける。


「みんな、居なくなっちゃったね」
「・・・あぁ」


 さっきまでとは一転して穏やかになった海岸には、アヤカシもリュウも、そしてアキラとマリも、美樹と彩以外には誰も居なくなっていた。
 そのまましばらく、二人は何も言わなかった。
 寄せては返す波の音だけが、聞こえている。
 美樹も彩も、この戦いの結末を、その目でしっかりと見届けていた。
 リュウとアヤカシの力は、互角だった。
 ――・・・いや、本当は、リュウの力はアヤカシよりも劣っていたのだ。
 信じられない程のエネルギーのうねりの中で、彩は確かに悠と諒の存在を感じた。
 リュウに、2人が力を貸したのだ。
 そして。
 結果、相打ちだった。
 アヤカシが消え、そして、リュウも消えた。
 アキラとマリも。
 そしてこの場に残ったのは、美樹と彩だけだった。
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