A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
「美樹? どうしたんだよ、起きて大丈夫・・・」


 言いかけて、彩ははっとする。
 リビングの入り口に立っているのは、間違いなく美樹だ。
 眠る前におでこに貼り付けた冷却シートもそのままだ。
 ――・・・だが。


「どちら様ですか?」


 険しい表情で、悠が美樹に声を掛ける。


「手、出すなよ、彩。“外側”は美樹だ」


 思わず身構えた彩に、諒が言った。
 その言葉を、彩は納得する。
 悠と諒の祖母であり、この店の大家でもある中川美恵子がよく使う手段。
 美樹は今、何かに憑依されている。


「もう一度聞きます。あなたは誰なんですか?」


 悠の言葉に、美樹に憑依している“何か”は、ついっと悠に視線を送る。
 それは背筋を伸ばし、顎を引いて視線だけを、悠に送った。
 何処か気位の高そうなこの雰囲気も、普段の美樹とはまるっきり違う。
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