異常な僕等はイタッテ正常
一瞬の出来事だった。
しかしケンイチには、サユが落下する姿がまるでスローモーションのように感じた。
一部始終を目撃していた数少ない生徒が慌てふためき、校内全域へたちまち騒ぎが広まっていく。
「・・・嘘だろ?」
ケンイチは、ただ呆然としていた。
テレビのニュースから流れる、クラスメートだった少女の名前。
大島サユ。
ケンイチにはサユが自殺した理由が分からなかった。何故なら日曜日、共に遊び共に笑っていたからだ。
あの笑顔が忘れられない…。
日曜日。
その日ケンイチはいつも通り、喫茶店でバイトをしていた。