異常な僕等はイタッテ正常


一瞬の出来事だった。

しかしケンイチには、サユが落下する姿がまるでスローモーションのように感じた。

一部始終を目撃していた数少ない生徒が慌てふためき、校内全域へたちまち騒ぎが広まっていく。



「・・・嘘だろ?」



ケンイチは、ただ呆然としていた。



テレビのニュースから流れる、クラスメートだった少女の名前。



大島サユ。



ケンイチにはサユが自殺した理由が分からなかった。何故なら日曜日、共に遊び共に笑っていたからだ。

あの笑顔が忘れられない…。



日曜日。



その日ケンイチはいつも通り、喫茶店でバイトをしていた。

< 24 / 48 >

この作品をシェア

pagetop