異常な僕等はイタッテ正常
考えれば考えるほど良からぬ想像は膨らむ…
レイジの姿を確認した時にはすでに、相手が歳上なんてこともかまわず、ケンイチは強引に襟元を掴んでレイジの体を壁に押しつけていた。
「あの時サユに………
何したんですか!?」
頭に血がのぼり、たちまち怒鳴りかかるケンイチ。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
必死にケンイチをなだめつつ、何故…突然サユが亡くなってしまったのか自分にも分からないのだということを、レイジは訴えた。
そして、レイジは知っているかぎりサユの身の上話を淡々と語り始めた。
一人っ子だったサユの母親は早くにこの世を去ってしまい、ずっと父親と二人暮らしをしていたらしい。
しかしつい最近、唯一の家族だった父親が失踪してしまったと言う。
そのため、親戚のオーナーが経済的に生活が苦しくなるサユの面倒を見ることになった。
日曜日、サユを呼び止めたのはレイジに用事があったわけではなく、オーナーがサユを呼んでいたからだそうだ。
だからその後、サユを案内してからレイジはすぐに別れたため、サユとオーナーが二人で何を話し合っていたのかは知らないらしい。
「きっと…両親がいなくなって
完全に一人になってしまったから
つらかったんじゃないかな?」
レイジはうつむきながら悔やんだ。
近くにいたのに助けてあげられなかったのはみんな同じだと…。
それを聞いたケンイチは、出す言葉も失い途方に暮れる。
疑ってしまったことを、一言レイジに小さな声で謝った。