絶対日記『REWRITE』
9月15日

午後、9時頃。誠の机の上にある貯金箱が、急に割れる。




麗菜は、ペンを置いた。

「なんで、貯金箱なんや?」

「アホ、なんでもええわ!とりあえずや!」

現在、午後8時半。二人は、9時を待つことにした。

「やっぱ、10分後にしたらよかったわ……」

寝転びながらそう呟く麗菜。長い。30分が、やたら長く感じた。

「……」

「……」



長い沈黙が走る。二人の考える事は、同じだった。


……どうか、成功してくれ……


成功したら……その先の事は、まだ考えていない。しかし、とりあえず希望はある。



コチコチと秒針の音だけが鳴り響く。そして、時は来た……

8時、59分。

「誠」

麗菜の声に、二人は机の上の貯金箱に注目した。ゆっくりと秒読みを始める麗菜。

「10……9……8……7……6……」

心臓が高鳴る。

「5……4……3……2……1……」

目を大きく広げる誠。

「0……」




……しかし、貯金箱は割れなかった。

「麗菜……」

「誠、あの時計、壊れてん?」

信じたくない様子の麗菜は、携帯電話を取り出して番号を押した。
< 110 / 203 >

この作品をシェア

pagetop