絶対日記『REWRITE』
誠は家に着くと、勢いよく玄関を開け二階に上がり、自分の部屋に入った。

「くそ…」

叫びたいが、一階には秋子がいる。心配はかけたくない。誠は机の引き出しを開けると、入っていた札束を全て取り出した。


……ホンマは、麗菜を家に上げたい。でも、お母さんが、何て言うか……


暴れたり、怒鳴ったりした次は、見知らぬおじいさんを家に連れてくる。それは、秋子の気持ちを考えるととてもできなかった。誠は家を出ると、麗菜の座っていた場所に行った。

「誠。何してたんや?早く、学校行かんかい」

誠の姿に気づいた麗菜が言った。

「麗菜」

誠はポケットから札束を取り出し、麗菜に差し出した。

「受け取れ。20万はある。今日これで、生活してくれ。明日、また金持ってくるわ」

「誠…」

「前に日記で手に入れた、汚い金やけど…」

「悪いな」

麗菜は震える手で受け取った。

「ごめん…麗菜……」

誠は麗菜に背を向けると、学校へ向かって歩き出した。悲しくて、後ろを振り返る事ができなかった。

「くそ…麗菜…」

再び、涙が溢れてくる。学校に着いた誠は、教室に入った。フラフラと席につく誠。そのとき、田島がいるのに気づく。

「あ、田島…」

「おう、誠。麗菜は?」

「え?」

「麗菜に、歴史の教科書借りててな。返そう思て」

誠は、何て答えたらいいのかわからなかった。
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