絶対日記『REWRITE』
「金や」

その言葉を聞いた瞬間、誠の表情が曇る。


また、金か……


「すいません。金は、ないです…」

「は?今、何万か持ってたやろ?」

その言葉に、さらに表情が曇る誠。


……見てたんか、こいつ……


「どうせ勝ち金やろ。ええやんけ。出せ」

「すいません、これは」

その瞬間、誠の腹部に衝撃が走った。

「うっ…」

誠はお腹を押さえ、ヒザをついた。

「さっさと出せや、さっさと」

ヤクザは誠のポケットを勝手にさぐると、4万を抜き取った。

「やめろ…それは……」

痛みで動けないながらも、必死に言う誠。しかしそれを耳に入れず、ヤクザはスタスタと歩いて行ってしまった。

「くっ…」

再び絶望を感じる誠。


……何でや……何で、こうなるんや……おかしいやろ、今日に限ってこんな事!


またしても涙が溢れ出す。仕方なく、誠はトボトボと麗菜のところへと向かった。

「誠?」

誠の姿に気づいた麗菜が言った。

「麗菜…ゴメン……今日も、あかんかった……」

「あかんかったって?」

「お金、稼ごうと思たんやけど…」

「お前、まだそんな事」

「ありえへんような邪魔が入って、全部失敗で…」
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