イジワル同期の恋の手ほどき
「もう一軒、付き合え」
店を出た途端、宇佐原が強引に腕を引っ張ろうとする。
「今日は飲みすぎよ?」
「大丈夫だ、これくらい」
宇佐原は足もとが怪しい。
「ちょっと、フラフラしてるじゃない」
慌てて、宇佐原のひじをつかんで、ショッピングモールの植え込みの縁に座らせる。
「ここで待ってて、水買ってくる」
「いいから、ここにいろ」
宇佐原が腕をつかんで隣に座らせる。
「もう、どうしたの?」
こんな宇佐原は見たことがなかった。私のひじのあたりをずっと掴んだままだ。
「……」
「なんか、あった? 私で良かったら、話聞くけど?」
宇佐原はずっと無言だった。
しばらくして、私の肩にコトンと宇佐原の頭があたった。驚いて顔を上げると宇佐原はぐっすり眠っていた。
「ちょっとちょっと、こんなところで寝ないでよ」
肩を揺り動かしても、宇佐原は目を覚ます気配はなかった。
「どうしよ、これ」
鞄からストールを取り出すと、そっと宇佐原の肩にかけた。