イジワル同期の恋の手ほどき
一時間ほどして、宇佐原がムクッと起き上がる。
「あれ、ここどこ?」
「飲みすぎて、寝ちゃったの」
「こんなとこで?」
「そう、こんなとこで。前を通る人にどれだけジロジロ見られたかわかってるの?」
「悪い」
「いいよ、疲れてたのに、運転させてごめんね」
宇佐原が首を振る。
「違う、そうじゃない。ドライブは俺が行きたかったんだ」
「ほんとに?」
「疲れてたのは緊張してたからで……」
「緊張って、知らない道の運転が?」
「いや……」
宇佐原が時計を見て、慌てて立ち上がる。
「おい、終電」
「うん、行っちゃったね」
「ほんとに、すまない。タクシーで送るから」