イジワル同期の恋の手ほどき
「そうは言ってない。泊まっていけば、いいだろ」
「へ……?」
宇佐原の言っている意味がわからず、ぽかんとしていた。
宇佐原、何言ってるの?
「今晩泊まって、明日の朝、作ればいいだろ」
「泊まるって、ここに?」
思わず、大きな声で聞き返す。
「そうだよ」
宇佐原は平然と言った。
「そんな、急に言われても」
頭の中は、グルグルとまとまらない考えが、うずまいていた。
「どうした?」
宇佐原は、まったくいつもと変わらないトーンで聞く。
「着替えとか、いろいろ。何も持ってきてないし……」
なんとか、断る理由を連ねてみた。
「それも、そうだな」
宇佐原がやけに素直に答えるので、拍子抜けした。
やっと、おかしなことを提案していることに、気づいてくれたのだ。
そう思ったのも、束の間。
続く宇佐原の言葉は、私の想像をはるかに越えていた。
「よし、今から買いに行こう」
「ええっ?」
「あそこのスーパー、まだ開いてるから」
「え……」