イジワル同期の恋の手ほどき
「朝食の次は、夜食だろ」
「資格の勉強でもしてるの?」
それを聞いて、宇佐原が笑いだす。
「昨日の夜食、最高にうまかったよ。だから、今夜もよろしく」
そう言って、宇佐原がくらっとするほど色気たっぷりのウィンクをする。
しばらく考えて、〝夜食〟の意味が正しく理解された時、体中から火が出るんじゃないかと思った。
「そ、それって、れ、練習……するものなの?」
「やっぱり毎日おにぎりだと、飽きるしな」
「わ、私、梅干しのおにぎりしか、作れないからね」
慌てて早口で言う。
「メニューは俺が考えるから、心配するな。食べてみたい夜食、リストアップしておく。俺、夜食は得意なんだ。作り方も、一からていねいに教えてやるから、楽しみにな」
にやっと笑って言うから、目をぱちぱちとしばたいた。
「私、手の込んだ料理は苦手だから、そ、それに、毎日は作れないし」
「俺は毎日夜食がないと眠れないなあ。試食、楽しみにしてるからな。そうだ、点数もつけるか」
もうこの事態をどう収拾したらいいのかわからず、あたふたする。