欲しいのに悲しくて

「ほら、菜子、もうちょっとだから」

「うーん…」


披露宴の後の二次会、ついつい勧められるまま飲み過ぎたお酒。


途中、彼に止められたけど、もう勢いは止まらなくて、むしろ止められるほど意地になって飲んだ。


「二次会がホテルで良かったよ…。ほら、水飲みな」


私をベッドから起こして、水を手渡してくる彼。

「うーん…いらなぁい~」

「こら、いらないじゃなくて飲みなさい」


口に近づけられるコップを拒否するように首を振る私を困ったような顔で見る彼。

そんな彼を見てもっと困らせたくなる。


「ねぇ…」

「ん?飲む気になった?」


ちょっとほっとしたような顔をした彼に私のイタズラ心に火が付く。

お酒が入ってなかったら言えないような事も、今なら何でも言えるような気がする。



「飲ませてくれるなら」


上目遣いで微笑みながら、いつもなら絶対私が言わないような台詞に一瞬驚いた顔をする彼。


…だけど、やっぱり彼は大人だ。









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