欲しいのに悲しくて
「今日は随分と積極的なんだな?」
「んっ…!」
ニヤリと笑った彼が、水を口に含んでから、すぐに私の口を塞ぐ。
小さくしか開けて居なかった口を、舌でこじ開けられて、何度も何度も水を含んでは飲まされて、喉の奥を冷たい物が通って行く。
「ふー…。少しは落ち着いた?」
私に飲ませる時に溢れたんであろう水をぬぐう姿が男の人なのに妙に色っぽくて、落ち着く所か、さっきの行為も手伝ってドキドキが増す。
顔が赤くなって行くのが自分でも分かる。
「菜子、聞いてる?」
「っ…!」
赤い顔を見られたくなくて俯く。
「何で俯くんだよ?さっきの積極性はどうした?」
だけど、そんなのは無駄って言うように、からかうように顔覗き込まれる。