欲しいのに悲しくて

あっという間に産まれたままの姿にされたあとはもう彼にされるがまま。

さっきまでのマイナスな事なんて考えられない位に彼に翻弄されて、導かれる。



「はぁ……」

「ふっ……。色っぽい声」

「えっ…。だって……」


全てが終わった後に思わず漏れてしまったまだ熱っぽさが残るため息。

それを指摘された事が恥ずかしくて、言い訳をしようとしたけれど、何が思い付く訳でもなくて言葉に詰まる。


「なに?照れてるの?」

「もうっ…!バカ!」


自分でも顔が赤くなるのが分かったけど、それを誤魔化す為に叩いてみるけど彼はニコニコ余裕で…。


「はいはい、ごめんごめん」

「全然、気持ちこもってない……っん!」

「……まだ物足りないでしょ?」


唇を一瞬塞いでから意地悪に微笑む彼に、否定の言葉を、口にしようとするけど、それよりも一瞬早くまた唇を塞がれて…段々深くなるキスと弱い所に触れる手にもうそんな物はどうでも良くなってきて、快楽に身を任せてしまいそうになる。

…でも、そんな気持ちは壊されるのも簡単なんだ…。



「……出ないの?」

「今はそんな事気にしなくて良いから。
ほら、こっち向いて?」


突然、静かだった部屋に鳴り響く着信音。

彼は今の行為に集中するように促してくるけど、まるで責めるかのように鳴り続ける音に、甘い雰囲気にそのまま浸れるはずもなくて……。











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