欲しいのに悲しくて
「ごめん」
軽くため息をついてから諦めたように言う彼に私は小さく首を横に振る。
……本当はとてつもなく嫌な予感がしてたのに。
「はい…。あぁ…。……今日はわかってるだろ…?」
ベットから離れたながら取った携帯。
募る不安。
小声で話し始めた彼の言葉は全て聞こえる訳じゃないけれど、なんとなく苛立ってるのが分かる。
「……分かった。あぁ…」
「……大丈夫?」
「あぁ…ごめん」
背をこちらに向けて居た彼が笑顔で振り返る。
一瞬、眉間にシワが寄ってたのは見逃さなかったけれど。
「ごめん。なんかちょっとトラブルが有ったらしくて…」
「…お仕事?」
「うん…、よりによってこんな日に…」
「お仕事だもん。仕方ないよ…」
本当は全然そんな風に思いきれない癖に、結局私は物わかりのいいフリをしてしまう。
もうこれは良くも悪くも癖になってる。
それが本心では無いことも彼には分かってると思うけれど。