滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

だいぶシワが増えたなぁとか、ちょっと疲れてるかな…とか。



両親だけを残して故郷を離れたものの、

二人は六十過ぎてるし昔みたいにテキパキ動けるほど、体も軽くないだろう。



一人娘としてはそういう心配も常に頭の片隅にあるのだ。





「でさ、その紙袋何よ?」




ずーっと気になっていた白い紙袋。


中には包装された箱が入っていて、
そこそこ大きめサイズだ。




「何って。もう忘れちゃったの〜?」



あらヤダと驚いた表情を浮かべた後、

食べ終わった皿が亡くなったテーブルの上にそっとおいた。




「あ!もしかして!?」




よくよく見たらその包装紙に見覚えがある。



ーーというよりも、嫌でも目に焼き付いていると言った方があっているかもしれない。

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