滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
二つの嫉妬が重なる時
ーー次の日。
「きゃああああっっ!!」
朝から絶叫が響く部屋。
あれだけ昨日早寝して、朝一で会社に行かなきゃいけなかったのに、
まさかの大遅刻。
目覚ましのアラームは確かに朝五時半に
したはずなのに、
時計の針は既に朝九時を指している。
通勤で最低でも一時間掛かるため、
会社に着くのは早くても十時過ぎだ。
着替えて、メイクして、髪をセットして、
ご飯も食べずに急いで家を出た私。
ーーよりによって何で今日なのよっ!
昨日の彼の態度を思い出すだけで胃がキリキリする。
しかも大事なプレゼンに部長補佐の私が遅刻してきたなんて、知ったら…!
「もぅ、死にそう…」
想像するだけでまさに背筋が凍る思いだ。
しかしそんなことを言っても既に時は遅し。
急いで会社へ向かう足は止まることなく走り続けた。