滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
彼は何度も角度を変えて荒々しく唇を塞ぎ、
息苦しくて彼の胸板を弱々しく叩く私の手すら無視して、熱い舌を幾度となく絡めてきた。
「はぁ…はぁ…」
舌先に糸を引いたまま要約彼の唇から解放された私は、大きく息が上がっていた。
「いきなり…、何ですか」
恥ずかしさで顔を赤くしたまま上目遣いで見上げると、
彼はジッと見下ろし黙って見つめている。
「あんなに飲んだらまたぶっ倒れちゃうよ?」
「…貴方には、関係ないでしょ」
タメ口の彼に私もタメ口で返す。
それは上司と部下ではなく、
一人の男女の立場でお互い向き合っている証拠だ。
「しかもアイツといっぱい話してた」
「っ!」
そう言うと、彼は首筋に唇を当て軽く噛んできた。
彼のいうアイツは間違いなく俊介の事だろう。