滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「俺が奈緒子さんの隣に座ろうとしたらアイツ、わざと女に声をかけて俺の周りを固めてきやがって」
苛立ちながら呟く言葉と比例するように、
首筋に当たる歯の強さが徐々に大きくなる。
「端から俺を奈緒子さんへ近づけないようにしてたんだ。んとにムカつく野郎だな」
「い…っ!」
ギリ…と歯を立てる鈍い痛みが全身に伝わってきて、思わず声をあげてしまう。
「痛い…って…!」
「アイツと楽しそうにしてた罰」
「貴方だって女の子と楽しそうに話してたじゃない!」
「ギャーギャー煩いから適当にあしらってただけ。俺はずっと奈緒子さんだけ見てた」
「…なっ」
たしかに彼の視線にはちょくちょく気づいてたけど、
そう…、はっきり言われると調子が狂うというか…。
「こんなくだらない宴会事来るつもりなかったけど、奈緒子さんが行くって言うから来たんだよ?なのに、奈緒子さんの隣にいられないなんて屈辱すぎるでしょ」