滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「つまんねーの」
もちろんホテルなど許すわけも行かず、
私と彼はとりあえず近くのレストランにはいり昼食を取るとこにした。
「何がつまんないよ、昼間っからホテルに行く人なんていないでしょ」
「いるじゃんか」
「…誰よ」
「俺たち〜」
「ばかっ」
ニヤニヤしながら話す彼に頬を赤らめながら思わずメニュー表で顔を隠す。
ーーこれじゃまるで恋人みたいじゃないっ!
今更ながら会社以外でこんな話をするなんて久々過ぎて、逆に緊張してしまう。
でも…嫌じゃない雰囲気につい頬が緩んでしまっていた。
「ねぇ、奈緒子さん?」
向かい側の席に座る彼の声に、
メニュー表をちょっとだけずらし目線だけを前に向けた。
「あ、あのさ…」
何だがキレの悪い話し方。
そして口に手をやり何だが目線を落として、口籠っている。
「…何?」
「その、髪型さ」