滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
どさくさ紛れに赤っ恥かくようなことを言われて、
その上シラフじゃ言えないからこうやって無理に強気にならないと思ってる事も言えない自分の気の弱さ。
ーー素直に出来たらどれだけラクか…。
自分自身に疲れちゃうわ。
「…今度貴方って言ったらビンタ百連発だからね」
私の精一杯の勇気に小さく笑って、ちゅと頬に軽くキス。
エレベーターが運良くゆっくりと減速しながら一階に止まり、要約エントランスまでやってきた。
「あー、もう着いたの?どっかでエレベーター止めときゃーよかった」
ちぇっと舌打ちしながら、つまんなそうにエレベーターを降りる蒼。
ドキドキしながら私も降りてそのまま一緒に出入り口へ向かう。
自動ドアが開くと、そこには一気に冬の寒さが私達を襲ってきた。
「「っさむ!!」」
オフィス街を抜ける冷たい北風が全身を通り過ぎて、無意識に声が揃ってしまった。