滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
そのギャップが何だが可愛くて、
私はふふふと笑ってしまった。
「ちょ、俺真面目に言ってんだよ?」
「はいはい。ありがとね」
「すぐそーやってあしらうんだから」
プイッと私から目線を逸らし口をへの字にして、
掴んでいた手を離しそのままグラスを持って一口飲む彼。
何かあったら蒼が助けてくれる。という安堵感が心に染み渡ってきて悩んでいた時の不安や恐怖が、気づけば薄くなっていた。
それは自分自身も蒼を信頼して気づかない間に頼っている事実を、改めて実感したからだ。
きっと蒼なら私がどんな事を言っても信じてくれるし、力になってくれる。
だからこうやって人にはあまり話せないことも話せるんだな。
「当面は俺と一緒に帰ろ?夜道危ないしさ」
「嬉しいけど…申し訳ないよ。そこまでしてもらっちゃ」
「だって危ないじゃん!あ、奈緒子さんが良ければ泊まってもいーし」
「泊まっ!?」