滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
時には冗談で、
また時には真面目な顔で。
ーーホント私、彼に翻弄されっぱなしだな。
でもそんな彼を嫌いにも嫌にもならないのは、
今の関係がとても幸せで満足してるからなのかも。
「泊まったらもちろん…、シテくれるよね?」
「ーー!!」
耳元でボソッと囁かれ一瞬で顔を赤面してしまう私を、
蒼は面白そうにイヒヒと笑う。
もしかしたら蒼の手の上で転がされてる…とかないよね?
「あ、奈緒子さんエッチなこと考えたでしょー!いやらしいわぁ〜!」
五歳も年下の彼のペースにまんまとハマってしまう私は、
恋愛ベタなのかそれともただのお人好しなのか…。
悶々と考え込んでいる私を横目で見つめる蒼の視線は誰よりも温かい。
しかし、第三者の黒い怪しい影が私達のすぐそこまで近づいていることに気づかないままで。