滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
玉石混交
“同じ部署の人間じゃ…”
蒼に言われたあの日以来、何だが周りの目が更に気になっていた私。
この人?いや、じゃあの人…?
他人を疑ってばかりで気づかれしつつも、普段通りに仕事をしなければならない。
後をつけられているのは今だに続いていて、
蒼は私を守ってくれるように自宅まで送ってくれる日々が続いていた。
もちろん!泊めたりはしてないけど。
そんな昼下がりのある日。
コピー室に用があり一人で誰もいない部屋に入った時、突然名前を呼ばれ振り返ると俊介が小走りで近寄ってきてそのまま部屋に入ってきた。
「え、な、何?」
俊介は大人三人入ればキツキツの密室空間に鍵をかけ何故か、堅い表情で私を見つめてきた。
その距離があまりにも近すぎて私は戸惑いながら思わず後退りしてしまった。
「あのさ、噂で聞いたんだけど…奈緒子ストーカーにつけられてるんだって?」