滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
雨のマンハッタン
がーーーー!
「無い…、無い無い無い無い!!!」
リバティー島を離れてから、アッパーイーストやミッドタウン、ハーレムをぶらつき、
夜、ホテルへ戻ってきたときあるものがない事を初めて気づいた。
「財布が…財布がない!」
ぶらついているときは、風景や建物を写真に撮ることで夢中だったし、
バックには小さなお菓子や飲み物が入っていたから特に財布を使う用途なんてなかった!
となると、最後に財布を取り出したのは…。
「……」
必死に頭の中で時間を巻き戻して、
自分の行動を思い出す。
最終的に思い当たる節はたった一つ。
リバティー島で食事をし、あのカレに免許証を取り出したあの瞬間だけ。
よくよく思い返せば、財布はテーブルの上に置いたままで話をしていた。