滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ーーえ?
「毎日帰る時、後つけられてるんだろ?大丈夫か?」
ストーカーの話はあずさと蒼以外には話していない。
それに二人が他人にバラすような人間とも思えない。
じゃ何処でそんな噂がーーーー?
「警察とかには相談したのか?」
「いや、そこまでは…」
「何かあってからじゃ遅いんだぞ?こういうのは早め早めに対応しないと」
俊介が心配してくれてる気持ちはありがたいのだが、
何処か違和感があるような感じがしてならない。
具体的に何処かと言われたらわからないけど…。
「一人じゃ危ないから、これからは毎日一緒に帰ってあげるから、な」
「あ、あの…ね、今部長にお願いしてて…」
「え?」
目を細めて優しく笑ってくれた俊介に蒼の事を話した途端、一瞬で笑みが消えた。
「部長に?」
グググ…と私を追い詰めるように体を近づけてくる俊介。
そのオーラが異様過ぎて後退りしていた私は、とうとう壁にまで追いやられてしまった。