滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ハァ…と深いため息をついた蒼は、
私を優しくベッドの上に座らせる。
「ムリすんなよ。って俺がこんな事言える立場じゃねーけど」
苦笑いしたままちゅっと額にキスを落とした蒼は、
少し私から距離を置いてベッドに腰を落とした。
「何か…さ、俺一人で空回りしてる気がする」
膝に肘をつき背中を丸めて、手で頭を抱え込む蒼がポツリと呟いた。
「自分が正しいんだって思ってる事がみんな裏目裏目に出てさ…。所詮まだガキなんだな、俺って」
その声にどう返していいかわからない私は、ただ俯いて必死に言葉を探す。
「奈緒子さんを付け回していた人間がまさか藤堂の今の彼女で、その理由が藤堂に見張るように頼まれたから。って…。まるで人間を道具にしか見てないアイツが許せなかったんだ。どうしても…一言言ってやりたかった…!」
“オイ”
“あ、部長おはようございます”
“何のつもりだよ、彼女にストーカーみたいな事させやがって”
“え?何の…ことでしょうか”