滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
周りいた人間が驚いた様子で一瞬俊介を見つめる。
「…」
「本来なら俺が被害届を出すべきだけど
まだ彼は若いからな。ここをやめてもまだ別の所で働けるだろう!」
まるで上から目線のような言葉。
「逆に俺に感謝してもらいたいよ。怪我一つで犯罪を免れたんだから」
クックックッと笑う俊介の不適な笑みに、
溜まっていた私の苛々が爆発した。
くるりと半回転足音を響かせながら俊介に近寄る。
「あんな男よりもやっぱり俺がいいって思うだろ?」
フフフと笑った俊介に私もニッコリ笑う。
周りも何事かと私達を見つめたままだ。
その瞬間ーー!!
パァァアアンッ!!
私の平手が俊介の左頬にクリーンヒット。
そしてみるみる頬には手の痕が赤く浮き上がってきた。
「てめぇみたいな、度胸もクソもねー金○小せえ男なんかこっちから願い下げだよ!クソ野郎!!」