滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
一人ビクビクしながら待つと、
そっか。と言って口元を緩めながら笑った。
「やっと奈緒子さんからその言葉聞けた。もうマジで諦めてたからなー」
はぁ…と深いため息をついてしみじみと話す蒼を見て、
何だが申し訳ない気持ちになってきた。
「ごめん、ね?」
蒼の気持ちを知りつつも、数ヶ月何も答えを返さなかったのは悪いことをしたなと思う。
でも今は蒼に対して曇り一つない気持ちで好きと伝えられることが出来る。
時間はかかってしまったけど、
蒼は私にとって大切な愛する人だ。
「これからは毎日十回好きって言って」
「十回も!?」
「じゃー二十回」
「それはちょっと…」
「あー、もうやっぱり俺嫌われてる…」
「わかった!わかったわよ!!十回ね!十回が限界!!」
ーーホント私、蒼君に振り回されっぱなしだわ。
でも、今はそれが何だがくすぐったくて、幸せだなと感じられる瞬間だった。